久々の山中視察

2022年09月12日

 12日(月)、地元阿蘇市の車帰地区の山中に設置されている治山砂防施設や工事用道路を車帰地区の皆さんや地元の岩本県議、県担当者と視察しました。

 現場は県有林が広がり、治山砂防施設が谷あいに建設されている地域でした。地元の方々の要望は県有林と治山砂防施設を通る道路の両脇に石のがれきが敷き詰められており、降雨になると雨が石を流し下流域の民家に流れ込み非常に危険であり、また田んぼにも石ころが流れ込んでいるようです。引いては雨水が道路をえぐり土砂崩れの危険もある。早急に石のがれきを撤去して道路の再整備をして欲しい、というものでした。

 皆さんと山中に入り、石の流れだし具合を見て、更に下流域の田んぼや民家を見て回りました。急峻な地域で雨水の流速も相当強く、マンホールも持ち上げ道路は河川状態になるという事を強く訴えられました。現場は道幅も狭く、これらを再整備するには相当の事業費が必要であることも分かりました。

 阿蘇地域にはこのような急峻な地域が数多くあります。一歩間違えば土砂崩壊や土石流といった事も心配されます。しっかりした事業を進めるべきところですが、たぶん難工事であり事業費もどのくらいの大きさになるか見当もつきません。車帰地区だけでなく、阿蘇外輪山一帯にこのような地域があると思うと今後の整備を進めるのに気が遠くなる感じです。

 阿蘇は平成24年の北部九州豪雨で土石流が至る所で発生し、30人の方が亡くなられました。28年の熊本地震でも土砂崩壊が外輪山の各地で起き、その修復作業につい最近まで時間を要しました。これを機に国直轄砂防事務所も設置されました。

 山間地、しかも火山地域でもろい火山岩、そして外輪山が阿蘇地域を取り巻くという自然環境の中で災害と常に向き合って生活しなくてはならない環境は都会とは全く違う厳しいものがあります。それでも住民の方々は移転することはできません。一つ一つ時間をかけてより安全な地域にしていく以外にありません。

 1時間ほどの視察の予定でしたが、話し合いと4輪駆動に乗っての現場への移動もあり3時間近くを要しました。

 しかし、このような視察は要望があれば直ぐに現場に行くべきです。山間地の条件不利地域は厳しい自然環境ですが、それをしっかりと守っていくことが国土強靭化に結びつきます。久々に山道を上り下りしながら現場に赴くことの大切さと自然環境が困難な地域整備の急務を痛感しました。

 やるべきことは山ほどあります。