食料安全保障に向けて視察

2022年06月14日

 13日(月)は朝8時20分熊本発、議員会館に立ち寄りそのまま「食料安全保障に関する検討委員会」で埼玉県の米粉工場と肥料製造工場の視察を行いました。

 ロシアのウクライナ侵略戦争により、各国が小麦の輸出を抑制し国内需要に回すようになりました。このためパンや麺類の小麦製品は高騰しています。我が国の小麦の自給率は13%、残りの87%はアメリカ(49%)、カナダ(34%)、オーストラリア(17%)から輸入されています。主要食糧であることから国家貿易として国が輸入し、一定の決まった価格で製粉会社に売り渡します。その後、各食品メーカへ売り渡されます。ロシアによる戦争とカナダ産小麦などが不作のため政府の売り渡し価格も高騰しています。

 このため、自給率100%で、なおかつ生産過剰になっている米をこれからもっと活用する政策を展開していこうとしています。これまではコメの消費アップのみを呼びかけてきましたが、もっと消費者が買いたくなるようなコメ商品を開発し、いわゆるマーケットメイクをしてコメの消費を上げようと方向転換をしていきます。

 埼玉の鴻巣市にある米粉製造「みたけ食品工業株式会社」にお邪魔しました。米粉は超粉末と微粒粉末の2種類をつくっておられ、和菓子用米粉、米粉パウダーとしてグラタンなどに使用するために開発された米粉、パンケーキミックスなどの商品を製造する過程を見学させて頂きました。
 コメの硬さは麦の2倍という事です。そのために粉にするには麦よりコストがかかり機器も高額になるという事でした。しかし、現在では米粉はあくまで麦の代替品として位置づけられており、麦の輸入を取り扱う業者にしか、麦の輸入関税によって得られた財源による補助はないという事でした。米粉対策の独立した補助金の必要性を感じました。

 その後は児玉郡神川町にある肥料製造「朝日アグリ株式会社」へ。こちらは牛糞からたい肥を製造されていました。牛糞の水分をいかに効果的に抜くかが課題という事でした。
 我が国の肥料はたい肥の使用はまだまだ少なく、ほとんどは化学肥料です。化学肥料の元であるチッソ、リン、カリは全てが輸入で、特にリンは中国に90%以上頼っていますが、中国が輸出を抑制しましたので、肥料が2倍近くの高騰になっています。今後、家畜の糞尿を原料とするたい肥を更に広めていく必要があります。そのためには粉末のたい肥だけでなくペレット状(つぶ状)のたい肥も開発していかなくてはなりません。

 ペレットたい肥の生産工程も視察しましたが、これから土づくりを進めていくうえでも農政の基本政策として予算をつぎ込んでいく必要性を感じました。

 時間がタイトな中の視察でしたが、今後の日本農政の在り方を考えさせられる有意義な視察でした。