2021年の出生者数81万2000人ショック

2022年06月08日

 先週の3日(金)、厚生労働省が発表した2021年の出生者数は81万2000人でした。予想では84万人という事でしたので大変な減少です。しかも政府が予測している出生者数を6年も前倒しで少子化が進んでいます。国家的危機です。

 このため6日(月)に開かれた自民党政調全体会議でこの危機を訴え、少子化、いじめ、虐待等こども対策の冒頭に81万人と国家の危機的状況を挿入しました。

 7日開かれた年金問題の勉強会でも、少子化は年金の支え手が減少する訳で年金財源が枯渇するという危機のもと、いかに少子化に歯止めをかけ合計特殊出生率を引き上げるか、という有識者の講演でした。

 現在のペースで少子化が進行すれば、今年2022年の出生者数が80万人割れをします。31年に70万人割れ、40年に60万人割れ、52年に50万人割れという予測です。
 一方で年間250万人生まれていた団塊の世代(昭和22,23,24年生まれ)は75歳を迎え、それに続く私たちの200万人世代も年金受給者になります。当然財源は不足していき、このままでは年金制度が破綻することは目に見えています。現在は保険料をその時の年金受給者への支払いに充てる「賦課方式」ですので、確実に足りなくなります。そのためにも少子化対策は重要です。

 年金だけでなく生産年齢人口も減少し、働く人が少なくなれば経済も弱くなりGDPも減少する一方です。また国防にしても自衛隊などの国を守る人がいなくなります。少子化はあらゆる面で国の力を弱くしていまいます。

 これほどの危機にもかかわらず、なかなか予算が増額されません。それは直近の医療費や国防費、教育費、公共事業などに充てなくてはならない不可欠な予算があるためです。このため7日の勉強会では「累進型の出産手当給付」として、こども1人目に100万円、2人目に400万円、3人目に700万円、4人目以降に1000万円を、新たなテクノロジーを利用した財源、減価するデジタル通貨で給付するという案も示されました。

 例えば1000万円もらっても、年々貨幣価値が少しずつ下がっていく、というデジタル通貨です。いわば毎年税金を支払うのと一緒ですので、最終的には国にお金が戻ってくるという仕掛けという事でした。出来るだけ早く使うので経済対策にもなる、といいます。

 異次元の試案ですが、「なるほど」と思う事ところもあるし、「そんなにうまくいくはずはない」とも思えます。

 しかし、少子化への危機は待ったなしです。このような試案でも一考に値するとは思いますし、考えられるあらゆる対策を提言してそれを実行に移さなくては、国家の衰退に間に合いません。

 「危機」は切羽詰まった危機、と思わないところが「危機」なのです。
 先ずは財源の確保を急ぐべきです。