議員のなり手不足深刻

2022年05月16日

 任期満了に伴う熊本県菊池市の市議会議員選挙が15日告示されましたが、定数20に対して立候補者は20人、無投票で議員の当選が決まりました。立候補締め切りの午後5時に無投票当選が決まりましたので、私はほぼすべての議員の事務所や自宅を回りました。それぞれが喜びと今後の緊張に包まれていましたが、「無投票でいいんだろうか」という声も聴かれました。

 菊池市の人口は47,077人(令和4年3月現在)で当日有権者数は39,350人です。(菊池市のホームページより)歴史と伝統のある自治体で、1330年代後半には後醍醐天皇の皇子である懐良親王(かねよししんのう)を征西将軍として九州の政務の中心地であった大宰府を一時制圧し、南朝方の勢力拡大を図ったことなどが市民の誇りとなっている地域でもあります。

 菊池市は、2005年に旧4市町村が合併して新生菊池市になりましたが、無投票はもちろん初めてですし、旧市町村の時もそれぞれの自治体での無投票は少なかったと思います。これだけの大きな自治体で、しかも様々な懸案を抱えた時期に無投票にならざるを得ないという事は「地方自治が民主主義の学校」と言われてきた中で大きな国民的課題です。

 熊本県内でも4月の宇城市議会議員選挙、19年の阿蘇市議会議員選挙、11年の合志市議会議員選挙などが無投票ですし、昨年は私の地元大津町の町議会議員選挙も無投票でした。

 現在、自民党を中心に「議員のなり手不足」に対して、兼業禁止の緩和など、立候補しやすい環境を整備するための議員立法が準備されていますが、与野党間の考え方の違いもあり、まだ提出までには至っていません。何が議員に立候補することを阻んでいるのかをしっかりと探り、公職選挙法の改正をしていくのと同時に、社会的に議員になることがいかに地域にとって大切であるかの啓発活動もしていかなくてはなりません。

 ロシアをはじめとする独裁的国家を批判する自由主義陣営として、その根幹である地方自治体選挙が行われなくなることは民主主義という自らの旗を降ろすことに繋がりかねます。

 危機です。