少子化対策で総理に緊急提言

2022年05月12日

 自民党の少子化対策調査会(衛藤晟一会長)は11日総理官邸を訪れ、岸田総理に「危機突破のための少子化対策に向けて」の提言書を提出しました。私も会長代理として同席し「国民共通の重大な危機にある」と対策を強く訴えました。

 自民党では、前年まで少子化対策は委員会として審議していましたが、その重要度から格上げされ調査会としました。これまでに有識者のヒアリングなどをしてきました。その結果、年々少子化が進みこのままでは、わが国の経済や社会保障、人材育成などに大きなマイナスをもたらし、国力が減退の一途を辿るという危機意識のもとこの日の提言となりました。

 とりわけ、2年間の新型コロナ感染症が影響して、人口動態統計速報によると令和3年の出生数は約84万人です。この数字は日本で生まれた外国人、また外国で生まれた日本人も含まれていますので、今後、確報値が出された際には81万人程度になると言われています。昭和20年代が250万人、平成でも120万人であったのに比べれば危機的水準です。これまでの推計では81万人台になるのは2027年と予測されていましたので、6年も前倒しで少子化が進行していることになります。

 最も心配されるのは婚姻数が減少している事です。令和2年は対前年比で12.3%減、令和3年も速報値で4.3%減となっています。件数で言えば令和2年が約5万件、令和3年が約6万件の減少です。この11万件の婚姻数の減少は、夫婦の完結出生児数はおよそ2人であることから、22万人もの出生数が減少することになります。危機以外の何物でもありません。

 この日の提言では結婚支援金、出産お祝い金、国や自治体、民間企業などすべてが出し合って、まずは結婚、出産をみんながお祝いするという国民世論をつくっていこうと記述しました。

 そのうえで児童手当は第1子が1.5万円、第2子が3万円、第3子が6万円を支給するように提言しています。これらには5兆円ほどの財源が必要になってきます。消費税で言えば約2%分ですが、消費税引き上げは国民の皆様との約束で10年間は出来ませんので、企業や家計の金融資産3200兆円などに対して、少子化対策としての既存の税制を見直し目的を明確にした財源を確保することにしています。
 しかし、現実には財源確保が最大の課題であることには変わりありません。少子化対策=財源対策です。それでも欧米では「少子化対策」に最も力を入れています。フランスは少子化対策を実施して既に100年になります。令和2年合計特殊出生率は日本が1.33に対してフランスやスウェーデンなどは2.0近くを確保しています。アメリカもバイデン大統領が「将来の競争に勝つためには、家族や子供たちに対し一世一代の投資をする」と表明し「米国家族計画」として10年間で1兆8000億ドル、日本円で216兆円規模の教育の無償化、保育支援、有給休暇などの拡充、子育て世代や低所得者に対する減税枠の拡充を打ち出しました。

 どの国も少子化対策に必死です。我が国も、結婚、出産、子育て、教育等、子育てと仕事の両立、可能な環境整備や男性の育児に対しての意識改革など、それぞれのライフステージに合わせた少子化対策を実行していかなくては、若者の負担はますます増え、国そのものが疲弊していくことは確実です。

 待ったなしの少子化対策を実践すべきです。