太平洋島嶼国(とうしょこく)が次々に中国と安保協定

2022年04月28日

 太平洋には多くの島々が点在します。特にハワイの南部や、オーストラリアの北部、ニュージーランドの北部の3群島に分かれ、それぞれが小さいながらも国家を形成しています。これらの国々と友好親善を深めていくために私たちは「日本・太平洋島嶼国友好議員連盟」を結成し活動しています。

 3つの群島は「ミクロネシア」「メラネシア」「ポリネシア」です。ネシアは島々の意味、ミクロは小さなという意味です。ガダルカナル島があるソロモン諸島、パプアニューギニア、フィジー、パラオ、マーシャル、サモア、キリバス、トンガなど私たちには馴染みのある島の名前ばかりです。かつてはフランス領であったり、イギリスの植民地でした。私が天草・牛深で熊日の支局長をしていた時、太平洋で操業する牛深漁協所属のマグロはえ縄船がいましたので、漁船乗組員の家族や親せきのために「漁業通信」というコーナーを設け「〇〇丸、パラオの南西40キロで操業中」など漁業無線局からの情報を毎日掲載していました。

 太平洋戦争の時は、ガダルカナル島、マーシャル諸島など日米での激しい争奪戦が行われ悲惨な戦場となりました。「ラバウル」や「ガ島」など軍歌や小説になった島々も少なくありません。それだけ、太平洋上における中継基地として、また漁業資源の国としての存在が大きく、最近は海底資源の埋蔵国として、その重要性が指摘されています。

 それらの国々はかつては台湾と国交を結んでいましたが、最近中国が進出し現在16ヵ国のうち9ヵ国が中国と国交を結んでいます。昨年、ソロモン諸島の親台湾地域で政府に反対する暴動が起き、それを鎮圧するためにソロモン政府は中国に出動を要請し中国軍が治安維持という名目で鎮圧したという事です。そしてソロモン諸島と中国の間に今年3月に安全保障協定が結ばれました。

 このように中国は貿易や中国人観光客、港湾建設などの支援を通じてそれぞれの国に深く進出して協定を結んでいます。この事は結果的に中国軍が常駐する軍港になったりするリスクがあり、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなどは我が国とともに懸念を表明しています。

 27日(木)の外交部会でソロモン諸島と中国の安保協定の問題が取り上げられ、経緯の説明がありました。外務省の政務官を派遣して首相と面談するとともに、今後に対しての懸念を表明したという事が報告されました。またアメリカの政府高官もソロモン諸島を訪れていますし、オーストラリアも軍を出動させるのと同時に懸念をソロモン諸島の首相に伝えました。

 ウクライナ情勢に目を取られがちですが、太平洋島嶼国で着々と中国の影響力は広がっています。ニュージーランドとハワイを結ぶ線を中国は第3列島線と位置づけ太平洋進出の最終ラインとしています。それだけに今後のわが国の対応は重要になってきます。

 27日の外交部会では私が「ぜひ外交部会の中に太平洋島嶼国プロジェクトチームをつくって欲しい。友好議連とともに政策的に太平洋の島しょ国を今後どのように位置づけ対応していくかを議論しなくてはいけない時期に来ている」と発言し、佐藤正久部会長が「検討する」と答えられました。

 太平洋島嶼国はこれからの大きな外交政策の一つになります。