「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」の策定に向けて

2021年06月09日

 地方創生担当大臣として1年間の方針を決める時期です。その基本政策が「まち・ひと・しごと創生基本方針」と言います。今年は2021年ですので「2021」を最後に付けます。

 これまでの地方創生政策と違うのは、新型コロナ感染の拡大で、地方への人の流れが強くなりつつあるという事です。テレワークが普及し、転職しなくても地方に移住してこれまでと変わらぬ仕事が出来るようになりました。更に、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進めば、中央にいても地方にいても住民サービスへの格差が縮まります。更に脱炭素で2050年まで二酸化炭素の排出量をゼロにするため、世界が同じ方向に向かって進みます。地方にとっては脱炭素は優位です。我が国や世界の流れの大きな転換期の中での地方創生の基本方針ですので、今回は、ことのほか重要な意味を持ちます。
 

 こうしたことを踏まえ、私としては「ヒューマン」「デジタル」「グリーン」の視点を重視したいと考えています。デジタルはITCの推進、グリーンは脱炭素社会の実現、と皆さんが知っておられる通りです。「ヒューマン」は地方に人材が必要です。中央からの派遣、移住、副業・兼業による地方への「知」の移転。人の知恵と実行力でしか社会は変わりません。それを考えれば地方はまだまだ人材が足りません。もっと地方に人材の移転を、というのが「ヒューマン」です。

 基本方針は内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部事務局で鋭意策定を進めており、今日9日(水)は自民党と地方6団体から意見を聞きました。自民党は午後1時から党本部で「地方創生実行統合本部」(本部長・河村建夫衆議院議員)が開かれました。多くの国会議員の方が出席され手様々な意見が出ました。「選択的週休3日制を実施して地方で活動する人材を増やすべき」「農地の利用に対して、もう少し地方の発展につながるような利用形態にして欲しい」「人口が以前より大幅に減少しているにもかかわらず、東京の国立大学の定員は変わっていなし、私立大学も含めると10万人が地方から東京の大学に流れ込むような仕組みになっている。大学の大編成をして、地方の大学を充実させるべきだ」など、さすがに大きな歴史的転換に不可欠な政治的な意見が出されました。

 午後5時からは知事会、都道府県議会議長会、市長会、市議会議長会、町村会、町村議会議長会の地方6団体から、それぞれの団体の会長がオンラインで提言や意見を述べられました。「地方創生臨時交付金の財源を確保して欲しい」「DXは地方創生に資するものにしていただきたい」「観光産業が壊滅状態である。コロナ後の再生の政策をお願いしたい」「路線バスなど地方の公共交通機関がコロナでズタズタになっている。国の支援が必要だ」など、地方の行政や議会に携わっておられる方々だけに切実な要望と提言がありました。

 党、地方公共団体ともどもに地方創生に欠かせない的確な意見ばかりでした。こうした御意見を踏まえながら策定を進め、これに基づいて2021年の地方創生事業をスタートさせます。