地元の復興着々と

2021年04月18日

 18日(日曜日)は、地元熊本の阿蘇で5年前の熊本地震からの復興を象徴する2つのイベントがありました。

 一つは阿蘇郡西原村の6集落の集落再生事業の完成式典が、午前中に行われました。5年前の地震で布田(ふた)集落や大切畑(おおきりはた)集落など6集落が壊滅的被害を受けました。いずれも断層帯上にある集落で、ほとんどの家屋が全壊や半壊のところばかりでした。

 それ以降、集落の方々は集団移転するか、もう一度集落を立て直すか、喧々囂々(けんけんごうごう)、侃々諤々(かんかんがくがく)の論議を何十回にもわたって行ったという事です。残留派と移転派が真っ二つに分かれ、家庭内でも夫婦で奥さんは移転、旦那は残留などに分かれたという事でした。しかし、最後は6集落とも、もう一度集落を立て直そうと決めました。

 以来五年間、石垣をつき、宅地を造成し、道路を拡張し、これまでより便利で安全で美しい集落をつくり上げることに専念されました。総工費は6集落で100億円以上を費やしました。今日は新しくなった6集落をまずマイクロバスで順番に見て回りました。これまでのいわゆる農村集落とは違う近代的な集落が完成していました。そして皆さんも笑顔いっぱいでした。やはり、数百年続いてきた集落への安心感や愛着は何者にも代えがたいものだったと思います。自然災害が人と人のつながりと地域愛をさらに強めたと言えます。

 まだ少し宅地には空きがありましたが、やがて住宅が建てられ、外部からの転入者も出て来ることでしょう。新たな集落の出発の日となりました。式典では当時、多くの県職員を応援のため派遣して頂いた佐賀県の山口知事も姿を見せられました。

 午後は阿蘇に国直轄の砂防事務所が設立され、その開所式でした。富士山や有珠山など、名だたる山や火山には国直轄の砂防事務所がありますが、なぜか阿蘇にはこれまでありませんでした。5年前の地震で阿蘇の外輪山が大きく崩れ、いよいよ国が直接工事しなくてはならない箇所がかなり出てきたことから、砂防事務所の開設となりました。こちらは今後、まず150億円をかけて、令和9年まで、16か所で砂防工事を実施します。これから阿蘇外輪山の大規模な災害予防工事が始まります。

 災害からの復旧、復興、そして災害予防工事には、やはり国の直接の力が欠かせません。国のパワーと地域の細やかな対応策のバランスがこれからの課題です。