地方創生で富山県を視察

2021年03月28日

 27日は地方創生事業の進み具合を知るために富山県を視察しました。特に農業の最前線で活躍しておられる女性就農者の方々の話を聴くのを楽しみにして出かけました。

 まず富山湾の水深の深さを活用して水深300メートル以上の海底から海洋深層水を汲み上げる施設と、その深層水により牡蠣の畜養・浄化をして全国に供給している企業を視察しました。海洋深層水はミネラルのバランスが良く、水質がきれいで、水温が3度前後と低温のため、地上に汲み上げパックご飯の工場で冷房水として使用したあと、16℃ほどに上昇した時に畜養のための水として再利用できるという幅広い使い道があり、下新川郡入善町(にゅうぜんちょう)で地方創生の資源として活用されていました。入善町は富山湾に面し、急激に水深が深くなっているので、深層水を汲み上げるコストも低く抑えられるという事でした。地の利を活用しての地方創生でした

 女性就農者との意見交換は1時間近く時間を取っていましたが、お互いに話足りないくらいでした。入善町と隣接の朝日町からなる「JAみな穂」の女性でつくる女性農業グループ「真樹の会」のメンバー6人を中心とした意見交換でした。印象に残ったのは全員、農業が楽しく誇りをもって働いておられ生産品に自信を持たれている事、女性ならではの「もったいない」精神で規格外のものを6次産業化して直売店に出しておられるなど工夫をされている事、子供さんが後継を望むような農業経営をされている事、更にコメ、麦だけでは早晩所得が減少して行くことを見越して高収益作物への転換に力を入れておられる事、などでした。規格外の里いもで作ったコロッケ、新鮮なホウレンソウ、自家産のモモやイチゴが入ったジェラードを直売所で買いました。ジェラードは移動中に車の中でみんなで食べましたが、美味い!

 先の山形県視察で女性農業者の方々と話した時、私から「農業に関心はあるが、なかなか就農に踏み切れない都会の女性にどう訴えればよいのか」と質問した時、異口同音に「所得や生活環境で安定した農業法人に就職できるような仕組みがあれば、そこで自信をつけて一人の女性として農業に踏み出せる」という意見があったのですが、富山県ではあまりその意見は出ませんでした。それより、女性が農業に参入しやすい環境を自治体も地域も一体となってつくり、外に向かって発信して行くこと、という意見が出ました。東京に近く、就職も都会でしやすい山形県と北陸地方の富山県の違いでしょうか。これからの女性の農業参入の仕組みづくりに参考になりました。

 そのほか、中新川郡上市町では江戸時代に建てられた商家をリニューアルしてサテライトオフィスを誘致、新たな職場や若者の集いの場所になっていました。懸命の地方創生の努力の表れでした。
 また、農福連携を実践しておられる福祉施設と農場現場を見て意見交換を行いました。海洋深層水を活用して高級魚の栽培漁業の実用化に向けた種苗の大量生産技術を実用化しようとしている「富山県水産研究所」でも説明を聴きました。

 富山県をはじめ地方は懸命の地域おこし、地方創生を実行しています。 それでも人口減少、高齢化は止まりません。しかし、懸命の努力を止めてはいけません。公的予算をつぎ込んで様々なアイデアを地元で考えていただき実践すること、そして中央の豊富な人材を地方に供給することにより更に新たな発想で地方活性化を展開していくことが大切であることを実感しました。

 努力の継続は必ず実る、そして一極集中から地方分散型社会への移行は必ず出来る、という事も確信しました。