第2次補正予算案、予備費10兆円は多いのか

2020年05月30日

 今回閣議決定したコロナウイルス関連第2次補正予算案では、予備費として10兆円が計上されています。この金額を巡って野党から、使い方を決めない予算が10兆円とは、あまりにも乱暴でいい加減な予算だ、という意見が強く出されています。

 予備費というのは、まさに緊急時に使うために予備的に予算を組んでおくもので、これまでは風水害や地震、火災など大災害の時、また予測ができない出来事が起きたときに使われてきました。野党が言っているのは、コロナ対策ではすでに事業規模で200兆円、真水で50兆円ほどが1次、2次補正で予算化されていますので、あえて予備費として10兆円を予算化するのは屋上屋を重ねるものだ、という事のようです。

 しかし、私はこの規模でいいと思います。平成28年の熊本地震の時、私たちが、復旧への立ち上がりの予算を組んで欲しい、と要望していた時、1か月後に7000億円が組まれました。これは当時の予備費から熊本地震対策費として投入されたもので、その使途は自由でした。この7000億円が私たちにどれだけ心強かったか分かりません。すぐに様々な復旧、復興計画を立て、直ちに復旧工事を発注してその後の復興につながりました。
 
 結局7000億円までは使わなかったのですが、残余の分はその後の補助事業で相殺されました。熊本地震の復興が順調に進んだのは、まず7000億円という将来に不安を感じさせない規模の予算が目の前にあったからです。

 それを考えると今回の10兆円は、ひとつの地域のことではありません。我が国全体の、しかもかつてない「災害」というべきものです。熊本地震の時と比べて15倍くらいになるのは当然です。第2波の感染が心配される中、まずは次なる感染を最小限度に抑える事、もし思わぬ事態が生じたら直ちに予備費から予算を投入して抑え込み、平常の社会に戻す、ということを考えれば、決して規模が大き過ぎるものではありません。