石川県、能登半島地震現場を上空から視察

2024年01月21日


 21日(日)、能登半島地震の視察のため石川県に行きました。朝8時25分の羽田発で石川小松空港に出発、空港に到着後9時50分、同空港のヘリポートから能登半島に向けてヘリによる視察を行いました。同乗者は私と林野庁長官、水産庁の部長など5人です。国道249号沿いを北上しながら、能登半島の日本海側の海岸線や山林を上空から視察し、能登半島を時計回りに回って12時前に小松空港に戻りました。
【能登の海岸線はズタズタ】
 少し小雨が降っていましたが視界は良好でした。国道249号は能登半島の西、日本海側を海岸沿いに走る道路です。法面崩壊で国道は至る所で埋まり、亀裂も大きく入っていました。能登半島の大動脈がズタズタの状態でした。
 海岸の隆起による被害が顕著な鹿磯(かいそ)漁港を低空で飛び周回しましたが、眼下には海底が隆起した光景が見えました。海底だったと思えるところが盛り上がり、岩肌になっていました。消波ブロックも浮き上がったようになり、岸壁も前倒しに倒れていました。船溜まりとなる泊地が干上がっているのが見えました。能登半島の先端に位置する狼煙(のろし)漁港、蛸島(たこじま)漁港も同じような状況でした。
【山腹崩壊と海底隆起復旧は専門知見が必要】
 海岸線から内陸に飛び、山腹の崩壊状況も見ました。熊本地震の時と同じように爪でひっかいたように至る所に地滑りが起きていました。ひとつひとつの復旧作業は相当な時間を要する工事になると感じました。また山林の土砂が崩れ、国道に大量に流れ出て道路を塞いでいます。熊本地震の時の立野地域の土砂崩れでJR豊肥線、国道57号、阿蘇大橋が飲み込まれた光景とダブりました。それが一か所ではなく、数か所に及んでいます。林野庁と国土交通省で今後の復旧工法を考えていかなくてはなりません。海底隆起も含め専門家の知見や判断を要するところが多いことが分かりました。
【馳石川県知事から8項目の要望】
 午後からは県庁に向かい、馳石川県知事をはじめ、県庁幹部、現地対策本部長と意見交換をしました。馳知事からは8つの要望がありました。
➊農業用機械、農村集落排水などの早期復旧➋農地の早期復旧と除塩工事➌農地の保全と今後の有効活用➍世界農業遺産である棚田の保全とコミュニティーの再生➎畜産の早期再開。ブランド牛である能登牛(のとうし)の復活➏山腹崩壊現場における国の直轄事業による復旧➐水産におけるブリ、フグ漁、カキの養殖再生と漁港施設の復旧、航路の安全確保➑地盤隆起をした漁港の再生、でした。
 私は8項目をすべてメモし、一つ一つに回答していきました。そして県、市町村自治体と連携しながら復旧を目指すことを約束しました。そして林野庁長官らにも専門家の意見を述べてもらいました。
【農林水産業の復旧なくして能登の創造的復興なし】
 熊本地震と比べて、山間地の小さな集落が多い事や海岸線が崩壊状態である事などを考えると、復旧復興には大きな困難が伴いそうです。馳知事は熊本県の蒲島知事が掲げられた「創造的復興」を標榜され、これからの復旧・復興に当たっていかれます。そして「農林水産業の復旧なくして、能登の創造的復興はない」と言い切っておられます。
 農林水産大臣としての責任重大です。
【写真は馳石川県知事ら県幹部と私をはじめとする農林水産省視察団の意見交換】