岸田総理に新たな農政の展開について説明

2023年12月26日


 26日(火)午後2時、官邸に出向き岸田総理に「食料・農業・農村政策の新たな展開方向に基づく施策の全体像」や次期国会に提案する「食料・農業・農村基本法の改正の方向性」など新たな農政の在り方について説明しました。与えられた時間は総理の質問も含めて15分間。出来るだけ分かり易く、自分自身の言葉で、そして簡潔にとかなり私なりに考えて説明に臨みました。
自民党でも30回にわたり議論
 まず今回の新たな農政の展開になった経緯を報告し、自民党でも「基本的農業」「人と農地」「食品関連産業」の3つのプロジェクトチームをつくり、30回にわたって議論してきた事などを踏まえ、農林水産省としても今回の新たな農政の展開を取りまとめたことを報告しました。
現在世界で起きている食料異変】
 そして今、世界で3つの点で食料に関する異変が起きている事を指摘しました。一つ目は小麦やトウモロコシの世界的産地であるウクライナにおける戦争で、世界の穀物相場が高騰し食料生産に対するコストが上昇し厳しい経営環境にある事、二つ目はインドやアフリカの人口増加で食料の争奪戦が展開されている事、三つ目は気候変動で温暖化による不作や渇水などが世界各地で起きている事、を挙げました。そのような中で25年前につくられた「食料・農業・農村基本法」をより時代にふさわしいものに変えていく必要が明確になったと私は述べました。
 今後重要な方針として「食料政策には国がもっとリーダーシップをとるべき」「日本の場合、人口減少の中で担い手と農地を何としても確保すべきである」ことを挙げました。
農林水産省が作った全体像
 これらを基にして農林水産省が作った農政の全体像の資料を提示して説明しました。全体の柱は➊食料安全保障の強化➋スマート農業➌農林水産物・食品の輸出促進➍農林水産業のグリーン化です。その一つ一つを簡単に解説し、関係する提出法案も報告しました。
基本法改正の方向性を説明
 続いて来年の国会に提出する「食料・農業・農村基本法」の改正の論点を説明しました。まずは「食料安全保障の抜本的な強化をすること」そのために法の柱として位置付ける事、生産から消費までの関係者の連携を強め「食料システム」という新たな概念を創って行く事など、時代に対応した視点を持つことの大切さを指摘しました。これからの世界の潮流でもある「環境と調和の取れた産業としての転換」が必要な事も強調しました。最後に我が国は人口減少下で生産水準の維持発展と地域コミュニティーを大切にしなくてはならないことの重要性も法案の観点の一つであることを述べました。そのためには多様な農業人材を位置づけ、スマート農業も展開し、農業法人の経営基盤強化のために食品産業などにも法人に加わってもらうことなど新たな改正点を明らかにしました。
食料安全保障強化大綱への追加項目
 最後にこれらのことを踏まえて新たに食料安全保障強化政策大綱に追加すべき文言を示しました。「国産への転換に向けた産地の強化育成」「生産者の急減に備えた生産基盤の構造転換の実現」「国民一人一人の食料安全保障の確立に向けた食料システムの構造転換の実現」などです。
説明を終えて
 総理への説明は時間内に終わりました。自分としては出来得る限り分かり易く農業特有の専門的用語は使わずに説明したつもりであり、総理にもしっかりと御理解いただけたものと私は理解しています。
急遽「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」の開催
 夕方、政府の「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」が27日(水)午前11時から開催されることが発表されました。私が説明した新たな農政の展開方針がこの本部にかけられ、また大綱の追加改訂も諮られます。私が説明したことについて各省がどの様な意見を述べるか、総理がどの様な取りまとめをするか緊張が走ります。

原案通りの施策と大綱改訂を発表
 そして強化本部が27日(水)午前11時から開催されました。私が総理に説明したことも含め「食料・農業・農村政策の新たな展開方向に基づく施策」が認められ、大綱への追加も原案通りとなりました。総理が最後に今後の新たな農政の展開について発表されました。

 私にとっては緊張の2日間でした。