地方自治体の財源確保のために勉強会

2023年11月21日


 自民党税制調査会が17日(金)から始まりました。これから約1か月間来年度の税制について様々な論議が展開され、12月の20日前後に令和6年度税制改正大綱(案)が取りまとめられます。
地方税とは
 税金は、国民の皆様や企業から国が受け取る「国税」と地方の収入源である「地方税」があります。このうち私は、地方の収入を少しでも安定させるため地方税を中心にこれまで税制調査会で発言してきました。地方税は、所得課税として「個人(法人)住民税」と「個人(法人)事業税」、消費課税として「地方消費税」「地方たばこ税」「ゴルフ場利用税」「入湯税」「自動車税」「軽油取引税」、また資産課税として「固定資産税」や「不動産取得税」といった、いわゆる地方自治体が様々なサービスをするに当たって『会費』的に納めるものです。

首長、地方議員経験者中心
 自民党税調の開会に合わせて地方派の議員が集まり21日から、今回の税制調査会で焦点となる税の項目について勉強会を始めました。この日は県議会議員や首長経験者、総務省出身者や関係の深い衆参国会議員に声を掛けた結果、昨年までよりかなり多く35人ほどの議員が参加しました。代表世話人である総務省出身の上野賢一郎衆議院議員が少し遅れて参加されましたので、かつての代表世話人であった私が司会進行を進めました。

外形標準課税
 今回の地方税の焦点は「外形標準課税」という税目です。以前は企業から徴収する地方税は「法人事業税」でしたが、同税は企業が好調の時は税収として自治体に入ってきますが、不景気になり利益が出なくなると入ってきません。自治体にとっては不安定な税でした。一方で自治体は企業に対して治安や災害、環境、教育、福祉などで様々なサービスをしています。自治体サービスの負担の度合いは企業の大小で異なります。そこで企業の大小を「外形」で捉え資本金や従業員数、賃金支払い額、所得などを「外形」として、その「外形」に応じてサービスの対価として納めていただくのが「外形標準課税」です。平成16年に創設されました。資本金1億円超の企業から徴収します。

分社化して課税対象から外れる
 しかし近年、企業によってはネットの普及などもあり、出来るだけ「外形」を小さく見せたり、資本金1億円以下の子会社をつくり、ホールディングスとしての組織によって「外形標準課税」の対象にならない、というケースが増加してきました。税創設時は3万社近くあった対象法人は一昨年は2万社弱に減少してきました。
これでは税の公平性に欠けるとして今回、地方自治体の要望もありグループとして一体的にビジネスを行っている場合は、子会社も対象にできる様にする、というのが改正点です。

経済界からの反発も
 しかし、経済団体からは「地方を中心とした中小企業の税の引き上げに繋がる」として反対が表明されています。そのため、勉強会ではあくまで資本金1億円以下の企業は対象ではないし、地方の中小企業が「外形」の対象となって税が引き上げられることもない。賃金を引き上げても「外形」には影響しないという事を皆さんと再確認し、本来の「外形標準課税」の仕組みを中小企業の皆さんに理解していただこうと論議を重ねました。

税の仕組みと自治体財政の説明がカギ
 それでも自民党税制調査会の全体会合などの論議になると、経済界や中小企業庁側からの激しい反対の意見も出てきそうです。いかに税の仕組みと働きを説明できるか、自治体の安定した財源の確保が地方にとって、どれほど大切かをしっかりと主張できるかが、これからの税調で問われます。責任重大です。

写真は21日地方派の議員を中心に開かれた「地方税勉強会」の会場