酪農・畜産物価格の決定

2022年12月13日

 
 自民党の「総合農林政策調査会、農林部会合同会議」は13日(火)午前8時半から、党本部で開催され、令和5年度の酪農・畜産物価格の決定しました。これで農業関係の今年の大仕事は一応終了しました。しかし、資材や飼料、肥料の高騰で厳しい経営が続きます。来年も気が抜けない年になりそうです。

 年末の酪農・畜産物価格の決定は、酪農については「加工原料乳生産者補給金」と「総交付対象数量」、畜産においては「保証基準価格」が主になります。
加工原料乳生産者補給金について説明しますと、我が国の酪農は規模が大きく生産量も多い北海道の酪農については搾った生乳はほぼバターやチーズ、脱脂粉乳の乳製品の加工用に回り、生乳は都府県の酪農で供給する、という北海道と都府県の酪農が両方並び立つ様に分業体制を敷いています。当然加工乳が生乳より保存が効き安価なため、生乳と加工原料乳の価格差を埋めるために設けられているのが「加工原料乳生産者補給金」という補填制度です。また、加工用の補給金を交付する乳量が「総交付対象数量」です。

 一方、肉用子牛の保証基準価格は、子牛が暴落した時に国が最低の価格を保証するもので、中小の畜産農家の経営が成り立つ様にする制度です。

 「加工原料乳生産者補給金」は令和4年度の1㎏当たり8.26円から令和5年度は8.69円に43銭引き上げられました。これに集送乳にかかる運輸などの経費が前年より6銭アップして2.65円が加算されますので、合計で11.34円が北海道の酪農家を中心に差額として生産量に応じて交付されます。その全体の総交付対象数量は生産を抑えているため、前年より15万t少ない330万tとなりました。ですから11.34円に330万tを掛けた数字が財源として必要になります。わずかな値上げですが酪農経営が厳しい折、とりわけ北海道の酪農家にとっては、貴重な差額の収入になります。

 畜産の保証基準価格は令和4年の黒毛和種54万1000円が令和5年では55万6000円に引き上げられました。熊本の赤毛和種も49万8000円から50万7000円に引き上げられました。

 この日は酪農・畜産団体も参加されてこの金額を了承していただきました。酪農・畜産から生産される牛乳や肉は私たちの貴重なたんぱく源であり、生産農家の方々をいかにして守るかは食料安全保障が叫ばれている中で私たち政治の役割です。

 しかし私は役員会であえて発言を求め「酪農に関していえば今後、少子高齢化で需要減が考えられ、需給体制を見直さなくてはならない。それにメガファームと大型酪農、中小酪農が混在する中で後継者問題も含めて酪農の10年後の絵姿を示すことが大切だ。そのための作業を始めるべきだ。同時に畜産に関する経営安定法などの改正作業も考えるべきである」と提案しました。

 これからの酪農・畜産農家はまだまだ試練が続きますが、何としても日本型の経営体系をしっかりと確立したいと思います。

写真は自民党本部で行われ、酪農・畜産物価格が決定した総合農林政策調査会】