海外における日本人の教育施設

2022年12月01日

 
 海外に赴任した場合、家族や子供たちを一緒に連れていくことは数多くあります。その子供たちが海外の赴任先で、教育を受ける日本人学校は世界の主要都市にあります。しかし、予算や教師の確保といったことで日本と同じ環境で教育が受けられるか、数多くの課題があり、親御さんたちの不安もあります。それらの在外教育施設の課題を解決していくために「在外教育推進議員連盟」(遠藤利明会長)を結成しています。その総会が30日午後2時から衆議院第2議員会館で開かれました。

 総会には担当の文部科学省、外務省のほか、在外教育施設の運営に協力していただいている「社団法人・日本貿易会」「社団法人・在外企業協会」「公益財団・海外子女教育振興財団」から代表者の方が出席されるとともに、日本と海外で教育を展開されている「渋谷教育学園」「立教英国学院」の方が出席されました。

 文科省の報告では、海外に長期間在留する邦人が同伴する義務教育段階の子どもたちは2022年現在で、日本人学校に14487人、補習授業校に19361人、私立在外教育施設に115人学んでいます。派遣されている教師は1327人で現職が929人、退職者が372人、プレ派遣教師が26人です。充足率が76.9%ですので教師不足の状態です。
 
 本来なら、子どもにとっても教師にとっても、国際感覚を養う貴重なキャリアアップ期間ですので、出来るだけ多くの教師を派遣すべきですが、現実は各都道府県教育委員会が現職の教師を海外に手放さない状態です。
 このため私たちが今年の通常国会で「在外教育施設における教育の振興に関する法律」を議員立法で制定し、予算と教師の獲得と教育の充実を図ることにしました。

 この日の参加者からは
「コロナで児童・生徒も減少した。より充実した教育が今こそ求められる。取り分け事務職員への補助をお願いしたい」
「ICT教育のためのタブレットなどが買い替えの時期にくるが、本国並みの補助になるのか」
「デジタル教育が各在外教育施設でバラバラ。水準を高め指針をつくって欲しい」
「デジタル教育は現職の若い教師がよくわかる授業をやるが、退職したシニアの先生が増える中でデジタルに強い教師が求められる」
「暴動やテロが心配される中で、相談窓口の一本化を図っていただきたい」
などの現場でしか分からない切実な意見が出されました。

総会では最後に決議を採択。
 ➀教師の働き方改革のためにも一層の派遣教師の増加と資質向上のためのオンラインによる研修の充実
 ➁学校図書の充実やICT支援員の活用促進
 ➂赴任経験のある教師のネットワークを結成しグローバル化や小学校段階での英語教育で、活躍できる環境と仕組みをつくる
 ➃児童生徒や教職員の安全確保のためスクールバス停や教育施設への警備員の確実な配置、などを求めました。

 在外教育施設は、これからの国際化を肌で感じる施設として、また日本文化の発信の拠点として、そして、なにより児童や生徒、教師の国際感覚の学びの場として大変重要な施設です。
改めて財政的な支援を求めます。

写真は総会で意見を述べる日本貿易会など在外教育施設の支援団体