鹿児島視察のあと茅葺き全国フォーラム

2021年03月21日

 20日は早朝から鹿児島に向かいました。鹿児島視察は以前から計画していたのですが、緊急事態宣言で延期となっていたものです。農業による地方創生のため、私が特に重視している女性の農業での活躍を肌で感じるための視察でもあります。

 最初の現場は日野洋蘭園というランの育成栽培と販売をしている農業法人で、社長ほか2人の女性の話を聴きました。社長は銀行から来られた方です。女性2人は兵庫県と熊本県から鹿児島でランの育成のために同園に就職された方々で、ランの品種改良や育成方法の改善などで頑張っておられました。二人の女性就農に対する共通した意見はやはり「女性が就農しやすい環境づくりと安定した生活環境・所得」でした。2人とも今の環境に満足されており「もっともっと女性に農業の事を知って欲しい」と言っておられました。同園は社員、パートの3分の2は女性でした。花卉栽培は女性の感性が大切なのかもしれません。

 続いて伺った畜産の「村商」は黒毛和牛の出産から成牛までの一貫経営を行い、更に精肉店、焼き肉店、そして台湾への海外進出もされており、その重要なポストに女性の方が任されていました。3人の女性の方々の話を聞きましたが、「和牛の飼育担当」「海外店舗の担当」「商品開発担当」など、それぞれの分野で最大限の努力をされ、豊かな発想で新たな挑戦もされていました。仕事が面白くてたまらないという印象で、その生き生きとした話しっぷりにこれからの農業の光を見ました。

 そのほか、シンガポールやタイなど東南アジアにサツマイモを輸出し、焼き芋として爆発的な人気を得ている「Japan Potato」を訪れ、貯蔵現場や選果場などを視察させていただきました。日本の農産品の輸出に積極的に取り組んでおられ、海外仕様の難しさなどをお伺いしました。

 昼食は鹿児島名産黒酢の「坂元」の社長とともに、くろずの生産現場と一体になっているレストラン「壺畑」(つぼばたけ)で食事を取りながら黒酢の歴史や体への効用のお話を聴きました。ちなみに社長は一橋大学を卒業し、アメリカ・コネチカット州のハートフォード大学経営大学院修士課程を修了されており、その豊富な知識に圧倒されました。

 4か所を訪問して共通しているのは、何事も自分で情報を収集し、現場を大切にし、工夫をしてほかにない農業のやり方を見つけ出しておられるという事です。そして社員を大切にし、任せるべきところは任せておられるという事です。そのことが国内だけでなく海外での成功の要因にもなっていました。改めて日本の農業が持つ可能性の大きさを実感しました。

 「地方創生は農業から」に私も自信を持ちました。

 次の日の21日には熊本に帰り「茅葺きを復活させるための全国フォーラム」に参加しました。私も茅葺きにほれ込み、茅葺きを振興させるための国会議員連盟の幹事長を務めています。熊本、特に阿蘇の草原はススキやヨシなど茅の宝庫ですし、上益城郡の山都町には1年かけて茅で作ったつくり物を競う八朔祭(はっさくさい)があります。

 茅に関する我が国の第一人者で筑波大学名誉教授の安藤邦廣先生が茅の歴史などを話され、奈良大学教授で万葉集の研究で著名な上野誠先生が万葉集に見る茅とロマンと暮らしと天皇などをユーモアたっぷりに話され、会場は笑いに包まれました。そして国立競技場を設計された、世界的建築設計家・隈研吾さんは世界の茅葺き建築と茅葺きを取り入れた自らの建築作品を紹介され皆さん感動されていました。
 すべて質の高いお話ばかりで古来からの先人の文化の高さに感服しました。
 フォーラムは大成功でした。