日本の中世史が少しばかり分かった

2019年04月16日

 これまで「源平」「織田・豊臣・家康」「明治維新」「近代戦争史」は我が国の歴史でそれぞれに、本を読んだりしてなんとなくわかっていましたが、どうも鎌倉中期から室町、応仁の乱くらいがよく理解できていません。そこで、この時代のあらすじを理解しようと先週3冊の本を買って読みました。
 「承久の乱」(中公新書)・坂井孝一著、「室町無頼」(新潮文庫)・垣根亰介著、「応仁の乱」(中公新書)・呉座勇一著の3冊です。「室町無頼」は面白い小説、あとの2冊は学者の正式な歴史の本です。
 承久の乱は文武ともに優れていた後鳥羽上皇が天皇親政を目指し乱を起こしますが、時の幕府の執権北条時政に敗北し、3上皇が隠岐の島などに流罪となります。公武の動揺が続き、幕府と天皇の力関係が微妙な時代でした。
 それに続く室町時代はさらに混乱を極めます。「室町無頼」はその中で天涯孤独の「才蔵」という少年が厳しい修業を積み、骨皮道賢(実在の人物)や蓮田兵衛らとともに、幕府や寺社に取り入っている役人や一般庶民を取りまとめ、権威に挑戦し大いに勝利を挙げるという痛快な小説です。室町時代の混乱は、今までの貴族や寺社仏閣の権威、幕府の権力が入り乱れる一方で、庶民がその権威に挑戦した下剋上という名の「階級闘争の時代」だった、という一面があることを知りました。
 「応仁の乱」は細川勝元と山名宗全の争いですが、「どの大名が何のために争ってるのかわからない、だらだらとした戦乱の世が長く続いた。英雄も出てこない、大義名分もない、わけのわからない戦いだった」と著者も書いていますが、一方で「日本の歴史は、応仁の乱以降を知ればいい」という著名な学者の言葉も紹介しています。
 争いから、文化も経済も人財も生まれなかった無意味な時代ととらえがちですが、国の治め方をいかにしたら良いのか、というものを暗中模索する時代であった、ということが言えるかもしれません。
 その後、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康というスーパーヒーローが出てくるわけですから、無駄ではなかった時代です。そして家康が、窮屈ではあるけれど250年続く天下泰平の世をつくる訳ですので、家康の能力たるやその側近も含めて大変な人物であり集団であったと、驚愕しますし、それは戦乱の世に戻してはいけないという、「公武動揺期」「弱体室町幕府」「応仁の乱」の前例の基に築かれた社会である、ということを改めて知りました。
 今の政治。公武の動揺期でもない、戦乱期でもない、階級闘争期でもない、スーパーヒーローが出る訳でもない穏やかな時代ですが、この平和や経済的繁栄、民主主義の時代を永く続かせなくてはなりません。しかし、世界の情勢は各国のファースト主義や民俗戦争、IT戦争などで、日本だけにとどまらないスケールの「闘争」が行われようとしています。わが国がどう立ち向かってかっていくか、グローバル規模の発想が求められています。