縄文ー1万年の美の鼓動

2018年08月24日

 一昨日は午前中時間が少しありましたので、上野の東京国立博物館で開催されている「縄文ー1万年の美の鼓動」を見に行きました。多くの方々が感動した、と言われていますので私も釣られて一応は見ておこうと足を運びました。
 暑い日でしたが、その人の多さにまず驚きました。平日の午前10時過ぎにもかかわらず、チケットを買うのに15分待ち、そして展示会があっている「平成館」に入場するのに10分待ちです。展示館に入ると鑑賞する人の多さに驚きます。ガイドのイヤホンを借りましたがこれも10分ほど待ちました。しかし結果は、それほど待っても時間は惜しくないほど感動しました。行ってよかったとつくづく思いました。
 縄文土器は私たちが教わった歴史では、弥生式土器が日本を席巻する前の、縄目模様を入れた土器で、弥生土器よりひと時代前の素朴な土器、という概念がありましたが、見事に覆されました。
 火焔型土器や渦巻型土器などは見れば見るほど細やかで美しくすべての形に意味がありました。当時の日本人が造り上げた美の原点です。創造的で宗教的でそして神々しい感じがしました。縄文人はおしゃれで、木の皮で編んだ「ポシェット」も肩から下げていたようです。その展示品には思わず笑みがこぼれました。ピアスやネックレスなど今の女性のおしゃれ感覚と変わりません。そして遮光器土偶、女性をかたどった人形、それもハート形の顔など様々な女性の像が展示されていました。それは女性の安産を祈って、また女性が社会であがめられる立場にあったことなどを物語っています。そこには宗教性や女性を大切にする必死の願いなどが込められており、像もバランスが取れ、体の美しさや神秘さを表しており、縄文時代の人たちの感性の素晴らしさを見ました。
 発掘地域はほとんどが東日本で一番発掘が多いのは岩手県ということです。1万3000年前から約1万年間続いた縄文文化はメソポタミアやインダス、黄河文化時代と重なります。これらの文明の土器との比較もありましたが、縄文土器の方がより美的センスにあふれ、呪術的で、繊細でした。日本人のDNAに誇りも感じました。
 その後縄文土器や文化は、稲作により定住がさらに進み、生活に実用的な弥生文化と弥生式土器に代わっていきます。これは大陸や八重山諸島、南西諸島から伝わった文化に移り変わっていくのを意味します。
 博物館を出るとき、私たちが小中高で教わった歴史の教育とは何だったのか、という思いもしました。もっと縄文の意味を深く教えてもらっていたら、ものの見方や歴史の意味を考えることに面白さを味わったかもしれません。歴史教育は大切、ということもまた感じました。