酪農で「天皇杯」受賞祝賀会に出席

2023年01月14日


 農林水産部門で最も顕著な成績を上げたり、将来につながる取り組みをしている団体や地域に贈られる「農林水産祭天皇杯」を地元菊池市旭志地域の「株式会社アドバンス」が受賞しました。その祝賀会が地元大津町のホテルで開かれましたので出席しました。

 アドバンスは旭志地域の酪農家で作っている株式会社です。通常だと酪農の配合飼料は各農家が輸入配合飼料を使うのですが、アドバンスは、地域の酪農家が自分たちの力で飼料を作ろうと設立されたものです。トウモロコシを集団で栽培する「コントラクター」をJA菊池が立ち上げ、刈り取ったトウモロコシを発酵させ、それぞれの単味飼料を配合するTMR(total mixed rations =完全配合飼料)の工場をつくりました。
平成19年21戸の農家で立ち上げ、現在は22戸になっています。配合飼料工場で作った飼料は、各酪農家の飼養頭数に応じて飼料が届けられ、各酪農家は自らの飼料を作る必要はありません。ただし、自らの牛乳に特徴を出したいという酪農家は特別にそれぞれが個別の飼料を付け加えます。

 こうしてこれまで、輸入配合飼料が高騰したときなど、安定的な価格で供給して来ました。また、ホルスタインの乳牛に黒牛などを生ませた場合にはJAがつくっている「キャトルブリーディングステーション」という肉牛専用の育成施設で育てる、という連携もとっています。

 このように、➀地域の酪農家が協力して一体で作業をする➁配合飼料の原料となるトウモロコシを含め出来る限り自給飼料を使い配合飼料を作りあげていく➂肉牛の育成にも努める、という集団での一貫した流れ作業で自給飼料の割合を高めてきたことが評価されました。
しかし、ここまで来るには熊本地震の災害も含め、それぞれに大変な苦労があったことをアドバンスの現在の社長である永田浩徳さんは挨拶の中で話してくれました。

 これからの農業、担い手が単独で効果的、特徴的な農業を展開する一方で、できる限り集団や集落で効率的な営農経営体を作りあげていくことも大切です。
さらにスマート化、デジタル化も併せて進めていく必要があります。そのことによって農家の所得が引き上げられ、休日も取れ、女性も参画してくる、という農業の好循環を作りあげていかなくてはなりません。

 農業の未来は努力次第で明るいものがあります。しかし、一般的なビジネスとは違い、土地集約や大型機械化、またどうしても人海戦術も必要になって来ますので国の手厚い支援が必要です。
この数年の間にこれらの農業変革を進め、選ばれた農業経営者が日本の食料の安全保障を守ってく構図を作りあげなくてはなりません。

 これからを加速化させる政策が必要です。

写真はアドバンスの永田浩徳社長とのツーショット。後ろに置かれているのが天皇杯