厳しい環境下の乳牛共進会

2022年11月20日


 20日(日)、熊本県大津町の家畜市場で熊本県乳牛共進会が開かれました。同会は乳用牛(ホルスタイン)の乳量や乳質など、能力向上のために体形などを審査して優秀な乳牛を決めるコンテストです。10か月以上12か月未満を1部として5歳以上の部まで12部門でそれぞれ競い合います。まだお産を経験したことのない未経産牛とお産をして牛乳を出している経産牛に分けられ審査をします。コロナ禍で2年連続で中止され今回は3年ぶりの開催でした。

 出品者はいずれも若い酪農家が多く、白い制服に白い角帽をかぶって自ら育てた乳用牛を家畜市場内で引き回します。農業高校で育てられた牛も数多く出場していました。高校生がそれぞれに自慢の乳用牛を皆さんに見せていました。

 「適度な大きさと強さを持ち、雌牛らしく姿勢が優美で各部のつり合いが取れているか」「肢の長さは体の深さとつり合い、肢の姿勢が正しく広く立っているか」「乳房がよく発達し長期にわたり高い生産能力を期待できるか」などが審査の基準です。審査員が厳格に一頭一頭を見てその場で順位を決めていきました。

 熊本の酪農は全国の都府県の中でも乳量や乳質でトップクラスです。九州の生乳の総生産量の半分近くを占める酪農大国です。後継者も育っており頼もしい限りです。

 しかし現在は先の酪農家との意見交換会でも書いたとおりに、飼料や資材の高騰、規模を拡大したことによる借金の返済などで最も厳しい経営環境が続いています。特に酪農はロボット搾乳機や飼料給餌等の自動化などで建設単価が他の畜産よりかなり高価に付きます。それだけに厳しい状態が続いています。

 牛乳は日本人の重要なたんぱく源であり、とりわけ子供や若者の成長源でもある牛乳の消費を拡大していかなくてはなりませんが、一方で少子化の壁が立ちはだかります。

 それでもこの日は、若い生産者が背筋をぴんと伸ばして、乳用牛を引っ張っていく姿に、このままの状態にさせてはいけないという思いがこみ上げてきました。

 酪農再生のためにあらゆる努力をしていきます。若い後継者の努力を無駄にしてはなりません。モチベーションが高まるような政策を展開します。

写真は家畜市場での乳用牛のコンテスト