中江岩戸神楽と地域再生

2022年11月07日

 
 6日(日)午後1時から、阿蘇市波野地区の国選択無形民俗文化財・県重要無形民俗文化財に指定されている「中江岩戸神楽」の公演を見に行きました。今年は4月3日に初回の公演を開始し、その折も参加しました。以来毎月第一日曜日に定期公演を行います。今年は残念ながらコロナで7、8月は中止となりましたが、その後、再開してこの日に千秋楽を迎えました。会場には神楽の愛好会の方々が200人ほどお集りになり、神楽殿で奉納される神楽を真剣に観賞されました。

 この「中江岩戸神楽」が凄いのは、小学生から高校生・一般の成人の方まで後継者がきちんと育っているという事です。長年指導されてる佐藤義勝さんを中心とする保存会の方々が、20年以上も前から、小学校の低学年の児童に神楽の舞を徹底して教え込まれます。その子供たちが今や、高校生や成人になり、そして新たな小学生もすでに立派に神楽が舞えるようになり、世代を超えて神楽が奉納されています。
 この日も小学生、中学生ら5人が色鮮やかな衣をまとい、神楽第11番「五方礼始」(ごほうれいし)という神楽から始まりました。午後4時までに20座が奉納され、皆さんカメラのシャッターを切っておられました。

 ただし一見華やかな光景ですが、神楽が行われる阿蘇市波野地区(旧阿蘇郡波野村)は人口減少が激しく、農業もなかなか厳しいのが現状です。阿蘇市と合併して更に人口減少に拍車がかかり現在の人口は1200人程。波野小学校の児童数は40人程です。集落が点在していますが、いずれも空き家や廃屋が多く、若者の姿は少なくなりました。典型的な山間地の過疎地帯です。

 このままにしておけば更に過疎化が進みます。国の過疎政策を適用しても如何ともし難い状況に変わりはありません。必死に頑張っておられる佐藤さんや小中学生のためにも何らかの歯止めをかけたいところです。

 主な産業は農業でキャベツやトマト栽培です。阿蘇の奥地の高冷地ですので高冷地野菜として夏場を中心に出荷されます。
 以前に、波野地域から「トマトを安定的に出荷したいので、モスバーガーなどのファストフードなどの企業と契約を結べるようにして欲しい」という要望もありました。しかし、「波野は夏場だけの出荷となり、年間を通して安定的な出荷には至らず難しい」という事でした。
 このような過疎地はなかなか振興策が見つかりません。何とか波野地域の特色を生かして、食品産業やレジャー施設など企業が進出できるようにしていきたいと考えています。

 「過疎地域の再生」-人口減少の中で厳しいものがありますが、何とかチャンスをつくりたいものです。

 【写真は神楽「五方礼始」を舞う小中高生