インボイス制度について発言

2022年10月21日

 
 税理士制度改革推進議員連盟(宮沢洋一会長)の総会が20日(木)午前8時半から東京のホテルニューオータニで開催されました。私は議連のメンバーであり、税理士の皆さんに後援会もつくっていただいていますので、進んで出席しました。

 会場には議連メンバーの衆参国会議員が約150人ほど出席し、税理士会側からは日本税理士会連合会(神津信一会長)、日本税理士政治連盟(太田直樹会長)ら役員の方々が顔を揃えられました。

 今回の総会は来年10月1日から「インボイス制度」(適格請求書等保存方式)が導入されるため特に重要な意味を持ちました。

 インボイス制度は消費税を支払って仕入れたもの、そして消費税込みで売り上げたものを全て国税当局に提出するという制度です。消費税は、ひとつの商品に、商品をつくるために支払った仕入れ時の消費税とそれを売った時の販売時の消費税と2種類あり、そのままにしていると一つの商品に2重課税となります。

 それを防ぐために売り上げと仕入れの「インボイス」を発行、保存しておかなくてはなりません。そのことで仕入れ額に課されている消費税が控除されることになります。これを「仕入税額控除」と言います。

 徴税を正確にするための仕組みとして来年10月1日から導入されるものですが、中小商店などにとっては事務作業が煩雑で混乱も予想され税理士さん達も作業負担が増すことになります。
このため、議員の中からも小規模事業者の皆さんへの事務負担軽減や税理士への緩和措置などの意見が出ました。

 それとは別に、これまで私が問題視してきたのは農業を集落単位で運営する「集落営農法人」です。田植えや稲刈りをしていただく地域の人々に作業委託料して日当を支払います。その日当は労務の提供(仕入れに当たる)なので消費税を含めて支払います。
しかし、集落営農の収入のうち、水田活用のための交付金など国からの交付金が7~8割を占めます。実際の品代(作物代)の販売収入はわずかで常に赤字です。課税仕入れが課税売上を常に上回る事から毎年度、労務の対価として支払った日当から消費税分の還付を受けています。

 私の地元の集落営農組織は400haと大型の集落営農のために2000万円程の還付がありました。この還付金で何とか運営が続いてきました。

 ところがインボイス制度が導入されると、全て一般的労務の対価として、売り上げが仕入れより赤字であろうと対価として計算されますので還付がなくなります。当然、集落営農の維持が難しくなります。

 そこで私は発言を求めました。「営利的な企業でなく地域の農業や農地を守るための組織であるにもかかわらず、もし組織が維持できなくなれば地域全体が疲弊する。何とか法人形態についての税の配慮をお願いしたい」と発言しました。

 しかし、答えとしては「これまでは益税として還付され運営に回されていたものである。インボイスは正確に消費税を把握するための仕組みでもある。」というものでした。

 「税」という国の財源の基本となる論理と数字、一方で私たちが訴えるのは社会を構成している実態の姿からくる地域運営です。

 すれ違いでなかなか議論がかみ合いませんでした。さらにこの不合理を訴えなくてはなりません。

【写真は税理士制度改革推進議員連盟総会の会場】