ウクライナ問題等、食料安全保障は大丈夫か
2022年04月01日
31日午前10時から自民党本部で「食料安全保障に関する検討委員会」が開かれました。ウクライナ問題で半導体の供給体制など経済安全保障が課題となり、今国会で経済安全保障に関する法律の制定が進んでいますが、同じように原材料を海外からの輸入に頼る食料についても安全保障対策を考えなくてはならないということから委員会が設置され毎週開かれているものです。
今回は肥料や家畜の飼料、そして施設園芸のハウスに使用される燃油についての論議でした。
肥料で化学肥料をつくる3要素は「窒素(尿素)」「リン安」「カリ(塩化カリ)」です。これらは原油や天然ガス、リン鉱石、加里鉱石といった天然資源を原材料としているため、ほとんど輸入に頼っています。
このうちリン安はその94%が中国からの輸入です。尿素は55%がマレーシア、37%が中国です。そして塩化カリは69%がカナダ、あと10%をロシア、7%をベラルーシに頼っています。
もし、台湾有事などで中国との関係が悪化すればたちどころにリン安の輸入は止まるでしょう。化学肥料そのものが製造できなくなります。
そのために輸入国の分散化と家畜の糞尿などでつくるたい肥による肥料の量産が求められます。
一方家畜の飼料については、いわゆる濃厚飼料(トウモロコシやふすま、大豆かすなどを混ぜ合わせたカロリーの高い配合飼料=人間の食事で言えばおかずに当たる)は88%が輸入で大半はアメリカです。粗飼料(乾燥草、青刈りトウモロコシ、稲わらなど=人間の食事でご飯に当たる)は国産が76パーセントを占めています。
特に現在は輸入コンテナ不足や輸送船舶料金の高騰、穀物高騰などで濃厚飼料が暴騰しています。
これらの数字を見るといかに、日本の農業が基礎的な部分で輸入に頼っているかが分かります。
食料安全保障委員会は、短期的にはなかなか難しいけど、長期的に見て根本的なところから自給率を上げなければ、いざという時に国民が食料難になる危険性が多分にあります。最終的には出来うる限りの国産化を政策として組み込んでいかなくてはなりません。
大切なことは現在の危機感を持続させ、国産肥料や飼料の製造の増大に繋げることです。ともすれば私たちは「のど元過ぎれば熱さ忘れる」で一時的には議論が盛り上がってもいつの間にか下火になってしまい、一旦緩急あるとまた右往左往するという事がありがちです。
しっかりとした議論を行い、常に自分たちの国は自分たちで守り、エネルギーも経済も食料も最大限リサイクルなどを通してでも自らがつくり上げるという精神を忘れてはいけません。
忘れない事、危機感を持続させること、を常に胸に刻んでおく必要があります。