「内密出産」で大西熊本市長と国に要望活動
2022年03月09日
9日(水)午前9時、大西熊本市長が議員会館の私の事務所を訪ねてくれました。以前から約束していた厚生労働省、法務省、内閣府への要望活動のためです。
昨年、熊本市の慈恵病院で、いわゆる「内密出産」がありました。望まぬ妊娠をした母親が身元を明かすことを拒否して出産をしたのです。現在の法律では出生届は両親もしくは母親の名前が必要です。しかし、出産そのものを知られたくないとして、内密に出産をした場合は出生届も本来なら受理出来ません。ただ生まれた子供については、その命と成長は見守っていかなくてはなりません。出生届などについての法律がない以上、どのように取り扱っていいのか、市長もこれまで手探り状態でした。
既に、法務省などの判断により市長職権として出生届を受理することで、違法性は免れています。しかし、この後の子どもの事を考えると、いかにして出生の秘密を守るか、その事実を誰が管理するのか、さらに成長した暁に出自を知る権利を要求された時にどう取り扱えばいいのか、また親子関係がどの様にして成立するのか、などについてはそれを規定するものはありません。
そのためこの日の要請は➀ガイドラインを作成して欲しい➁法的な整備をして欲しい、というものでした。
大西市長は以前からの同志であるために、この日の各府省訪問について依頼があり、私が前もって厚労大臣、法務大臣、内閣府の野田少子化担当大臣に対し、「熊本市から要望に来た際は会って話を聞いて戴きたい」というお願いをしていました。
しかし、ちょうど参議院の予算委員会の最中で、大臣が答弁に取られ、この日大臣に会えたのは古川法務大臣のみでした。それでも厚労省は事務次官、内閣府は赤池副大臣が対応していただき、熊本県選出の国会議員も同席しました。
それぞれの府省で話を聴いていただきましたが、難しい問題です。本来なら「内密出産」はありうべき事ではありません。しかし、女性が望まぬ妊娠をして、産むか産まないか葛藤し、産むことを決意したものの、全てを秘密にして産まざるを得ないケースも出て来ます。そして産まれてきた子どもは生きる権利を持ちます。私たちの義務としてしっかりと育てていかなくてはなりません。
非情にデリケートで難しく、様々な問題が絡むだけに古川法務大臣も「現在の法律の中で運用によって出来る限りのことをしていく」と答えるのが精一杯でした。
国の主だった府省に要望できたという事がこの日の成果でしたが、子供の成長とともに今後様々な課題が出てきます。悩ましい問題です。市長は一日の要望活動を終え、飛行機の出発時間ぎりぎりまで記者会見をして、夜の便で熊本に帰って行かれました。
まずはこの日からがスタートの日、となります。