酒屋さん問題で大揺れ

2021年07月14日

コロナ感染対策で企業への支援措置などを担当する西村康稔経済再生担当大臣が、「酒類の提供自粛に応じない店に、金融機関や販売業者を通じて働きかけを強める」という趣旨の発言したことで、酒類販売業界をはじめ各界から反発を招き、発言を撤回した問題はその後も尾を引き、先に内閣官房と国税庁が出した「酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じない飲食店との酒類の取引停止について」の文書も13日に撤回となりました。

 何とか感染拡大を抑えようとする国の強い思いと、経営者や従業員の生活が懸かる民間事業者の必死な気持ちの間の大きな隔たりが、今回の問題点として噴出することとなりました。今後、様々な感染防止対策を打ち出す際は、現場の声を十分に聴いたうえで慎重に、かつ効果的な出し方をしなくてはなりません。

 私は大臣として閣僚・政府の一員ですが、自民党においては「街の酒屋さんを守る国会議員の会」の幹事長でもあります。ですから政府がやろうとしていることも十分に理解できますし、一方で酒屋さんを守る立場から言うと一方的に酒類販売業界に対して厳しい締め付けをやられると小さな酒屋さんはひとたまりもありません。この2日間は間に入ってだいぶ悩みました。記者会見でも「酒類販売店が納得いくような対応を取りながら、飲食店の営業時間短縮の協力要請をしていかなければならない」と述べました。

 街の酒屋さんには何としても生き残ってもらわなくてはなりませんので、私が担当する地方創生臨時交付金の協力要請推進枠を活用した支援策はその適用基準をだいぶ緩和しました。これまで対前年マイナス30%の売り上げ減が最低の条件でしたが、今回「2か月連続減少15%」としました。その他にも売り上げの減少率に応じて支援の上乗せを段階的に行うことにしました。

 今後も酒類だけでなく、他の分野でも感染抑制対策と社会・経済の安定の両立を図る難しいかじ取りが求められます。加えてオリンピック・パラリンピックという国際イベントの開催です。それだけに、この難局を何としても総力戦で乗り、我が国ならではの「国民力」を示していきたいと思います。