子供の貧困対策で足立区役所を視察

2020年12月23日

 22日午後3時から、視察のため足立区役所に出かけました。足立区はこれまで平均的所得が低く、子供の貧困率も高かったために、子供や家庭に関して、役所の縦割りを排除して精緻なデータを集めて効果的な対策を実行している先駆的な自治体と言われていることから、現場の声を聴きに行ったものです。

 私がまず挨拶し「新型コロナウイルスの感染拡大は子供たちの様な弱い立場の人に経済的しわ寄せが行く。本当に困っている人に的確に支援をすることが国として求められる。足立区は縦割りを排除して効果的な支援体制をとっておられると聞く。今後の国の子供貧困対策のためにも実践されている対策を聞かせてほしい」と述べました。
 足立区の近藤やよい区長が「足立区は、足立区に生まれ育ったことを誇りに思っている住民が少なかったが、この10年間の努力で向上した。これからも意欲的に取り組むので国の支援をお願いしたい」と応えられました。

 足立区の取り組みの優れているところは、子供たちの生活実態や健康状態、学習レベルを一元化して個人個人の情報としてデータ化しているという事です。このためにそれぞれの貧困実態や学習能力などに応じて、改善指導を可能にしている、という事です。これまで、学力テストでは小学校の平均点が全国レベルより低かったのが、この10年間で平均を上回るという結果を出していました。同様の結果は健康度などにも出ていました。

 そのためのデータは教育委員会から福祉部門に集められ、福祉部門で教育、健康状態、家庭での生活などが一元化されていました。またそれらを分析する専門的な職員も配置され、個々人への効果的な対応になっているのです。

 課題としては、個人情報をいかに保護して行くか、それを活用することがどこまで許されるか、データの分析を更に精緻化するためのマンパワーの確保などを挙げられました。

 予定の1時間を過ぎても私たちとの質疑応答は続きましたが。職員の皆さんの積極的な取り組みの姿勢には、足立区を何とか良くしようという意欲が感じ取られました。

 私たち内閣府では、これから足立区が取り組んでいるようなデータの一元化を全国的に実施して、プッシュ型の支援が可能になるようなシステムをつくり上げる作業を始めます。区長のリーダーシップで既に、一定のデータのプラットフォーム化を実現されている足立区の取り組みは大変参考になりました。

全国的には、足立区の様な自治体は稀です。職員の確保もままならない小規模自治体も数多くあります。子供の貧困の把握という難しい課題に対する全国規模のシステムづくりにこれから、取り掛かることになります。