大阪モデルによる出口論と地方自治

2020年05月07日

 コロナ感染による、営業の自粛要請に対して大阪府の吉村知事が「出口論を国が示してくれないので」という発言をしたうえで、大阪独自の出口戦略として営業自粛解除に対して「大阪モデル」を発表しました。
 これに対して新型コロナ対策担当の西村大臣が「緊急事態宣言は国が責任をもって今後対処するが、営業の自粛解除についてはそれぞれの自治体で判断するもの。何か勘違いをされているのでは」と反論しました。

 私も吉村知事の発言には違和感を持ちました。また、東京も含めた都道府県知事が知事の裁量権拡大を求める一方で、国に対する要望など、いわばパフォーマンス合戦のような状態になる事に危惧の念を抱きます。

 営業自粛要請に対する出口論のほか、協力金の国への要請や教育面での9月入学など、いくつかの分野で知事の権限との国の責務が対立します。今回のコロナに関することだけではありません。行政の役割の様々な分野で常に課題になることです。

 国は全体のことを考えて専門家会議などを通して、緊急事態宣言については逐次各地域の情勢を見ながら、一斉解除か地域別解除かなどの判断をします。各知事は国の一定の基準に基づいて独自の判断をし、地域に一番適合する政策を作り上げる、その予算については国は最大限配慮していく、というのが本来の国と地方自治の在り方です。

 地域の実情は首長が一番知っている、ということは私たちが一番分かります。国は最大限首長を尊重しなくてはなりません。一方で、財政事情では東京都とそのほかの道府県では相当の格差があり、国としては財政が厳しいところに合わせながら対策を検討しなくてはいけません。ここで地方の首長と国がごたごたする時ではない。お互いがお互いの立場を尊重して、一致協力すべき時期であることをもう一度認識すべきです。

 もっともアメリカでもニューヨーク市長とトランプ大統領が対立するなど世界で同様の傾向はあります。難しい問題の一つです。