和牛の遺伝資源を守れ

2019年03月27日

 昨年11月に和牛の凍結精液と受精卵が中国に持ち込まれようとして、中国側が伝染病予防の関係から持ち込ませなかったものの、あわや和牛の遺伝資源が中国に持ち込まれ、中国産和牛の大量生産につながる可能性があったことから、自民党畜産酪農対策委員会では「和牛遺伝資源の流通等に関する専門検討プロジェクトチーム」を立ち上げました。その2回目の会合が昨日開かれました。
 座長は畜産酪農対策委員長の赤澤代議士、私は座長代理を務めさせていただいています。昨日は昨年11月の事案についての事実関係の報告がありました。
 徳島県の畜産農家が、大阪の焼き肉店経営者に要請されて、和牛の凍結精液と凍結受精卵365本を650万円ほどで売り渡し、それを仲介者が大阪南港フェリーターミナルに搬送し、中国の上海に輸送し、中国の業者に売り渡そうとしたが、日本当局の輸出検疫証明書がなく中国検疫当局で輸入不可となった、と報告がありました。
 畜産農家と焼き肉店経営者、運搬をした仲介業者は、「家畜伝染病予防法違反」「関税法違反の容疑」で逮捕され、大阪府警で取り調べが行われているということです。
 和牛は日本が永年かけて品種改良して、世界の和牛ブランドに育て上げた苦心の作品です。まさに我が国の畜産界がつくり上げた芸術品です。これがいとも簡単に中国に持ち込まれようとしたことに我々もショックを受け、法的にもっと強い規制をかけなくてはならないということで議論しています。
 和牛の遺伝資源(精液や受精卵)は、県や畜産事業団で製造して凍結管理して、ナンバリングもしていますが、民間で流通している遺伝資源は把握出来ていません。実際にはどれだけ我が国に出回ってるのかも把握されていません。当然これだけの貴重な遺伝資源ですので外国からも標的にされます。
 昨日も「罰金の大幅引き上げ」や「国の一元的集中管理」などの意見が出ましたが、なかなか難しい面もあります。今後もっと知恵を絞って、何らかの法的な規制強化をして、和牛の遺伝資源の海外流出を防ぎたいと思います。今国会中には素案をまとめて、今年の臨時国会にも提出を考えています。またまた、難関への挑戦です。