森友文書の不可解と国益

2018年03月09日

森友学園と財務省が結んだ国有地の貸し付けや売買に当たっての文書で、国会は空転が続いています。

この問題は、書き換えがあったのかどうか、が最大の焦点になっています。決裁文書になる前には「本件の特殊性」や「特例的な内容」の文言が入っていたが、決裁文書になるとこの文言が削除されていた、というものです。財務省が国会に提出した文書にはもちろんこれらの文言は入っていません。大阪地検が押収している決裁文書にも多分この文言はないでしょう。

野党が言っているのは、森友問題が明らかになった後、「本件の特殊性」などが削除されている、だから意図的改ざんである、という訳です。

しかし、地検側からすると正式な決裁文書が改ざんされているなら、公文書の改ざんで法的に立件できるけれど、それまでに内部で文言が削除されたり変わったのであればこれは犯罪として立件することはできません。また「本件の特殊性」という文言がどのような意味を持っているのかは受け取る側でさまざまに違います。この事は政治的解釈の問題になってきます。

野党は財務省にあるすべての文書の提出を求めています。財務省も一点の曇りもなければ提出したらいい。途中で「特殊性」という文言が削除されたのならば、「特殊性」という意味を堂々と説明すればいい。あまり先のことを心配してあいまいな答弁を繰り返すので、誰かの意向を「忖度」しているのではないかと勘繰られるのです。

ここは役人がしっかりと答弁してもらいたい。でないと、いつまでもこのような「国有地払下げ」問題で政治が停滞することになります。

この間、北朝鮮は米国との会談を実現するために動いています。日本はその後どうするのか。中国が日本に接近してきています。北朝鮮問題やトランプ大統領の鉄鋼輸入規制などがあると思います。今論議して我が国の方向をしっかりと見定めなくてはいけないときに、「書き換え」で国会で、外交も、金融も、農政も、TPP11も議論できない、という状況は我が国の国益にとってどれだけ損失か、はかり知れません。