農業の世界がおかしい

2009年01月29日

 ここ3回自民党農林部会が開かれました。石破農林水産大臣の発言や政府の動きがどうもおかしいからです。「WTОは落としどころを考えて」「コメの減反をなくすことも選択肢の一つ」「農政改革のための担当相を置き関係5大臣で協議する」。
 コメの生産調整は最も大切なことで農家に価格維持のために無理を言いながら協力してもらっている所です。その代わり、減反分には協力金も出して、産地づくり交付金を予算化して大豆や野菜などを植えてもらっています。さらにエサ米や米粉活用のための加工米も来年度からの法律によって促進することになり、食用米は作らないけれど水田をフル活用するという方針を立てたばかりです。それなのに減反廃止の発言が出てくると農家は迷ってしまいます。もし減反を廃止すればコメの価格は半分以下5000円ほどになり各農家は今でさえ赤字状態なのに作ってもどうにもならないということになります。
 また関係5大臣で農業のことを話し合う、ということは経済産業省の発言を聞いてくれ、ということです。それはそのまま農業への企業参入の道になります。このことは慎重にやっていかないと、農業というのは共同作業や集落作業で成り立ち、日本の社会の基盤であり、集落は日本を作る最小の社会細胞です。この集落崩壊につながる危険性が出てきます。日本の成り立つ基盤が失われます。
 資本の論理で動く企業は、やはり利潤追求です。良い時は良いのですが、いったん悪くなると今回のように派遣切りとなります。製造業の場合はそれで何とか生産調整できるのでしょうが、農業の場合農地の荒廃、農村社会の崩壊につながります。郵政の民営化により、簡易郵便局がなくなるなどの現象が起きており、地方から公共機関が消えつつありますが、農業が資本中心になればこれどころの騒ぎではありません。
 国の基本、生活の基本、農業の基本をしっかり抑えておかなくてはなりません。