軽減税率これでいいのか

2015年12月10日

 平成28年度税制改正を行う自民党税制調査会も大詰めを迎えました。今日が取りまとめです。昨日軽減税率を除いてほぼ一段落しました。
 「軽減税率」ー平成29年4月から消費税を今の8パーセントから10パーセントに引き上げる際に、生活にかかわりのある重要なものは8パーセントのまま据え置こうという制度です。考え方は正しいと思いますが、あまりその対象範囲を広げると何のために10パーセントに引き上げそれを社会保障に回そうとしたのか最初の引き上げ目的が失われてしまいます。そのため自民党は生鮮食料品に収め、マイナスが4000億円程度にしようと努めました。しかし公明党はそれでは軽減税率を導入した意味が失われるとして、パンや牛乳など加工食品まで適用範囲を広げ1兆200億円程度までは覚悟すべきだと主張して、これまで対立が続いてきました。
 また、対象品目を広げすぎると流通段階で生産者から集荷、卸し、小売と続く中で品目別の手続きが煩雑になるとして、中小企業業界や税理士会からも反対の声が上がり、苦肉の策としてマイナンバー活用やプリペイドカードの使用などの案も出されてきました。
 しかし結局公明党案を大幅に採り入れ、加工食品まで拡充し1兆円程度の減収となりそうです。今後、その煩雑さや線引きの難しさ、社会保障に充てる財源として果たして大丈夫なのか、など様々な問題が出てくると思いますが一つ一つ解決していく以外にはありません。
 本来なら税の論議でとことん突き詰めていくところですが、最終的には政治的に決着ということになりました。私たちのように自民党税制調査会で幹事をしている立場からすれば、不満で一杯です。やはり10パーセントまでは軽減税率を導入しないか、必要最小限度に抑えるというのが税の本質だと思うのですが、これは政党間の問題として落とし所を探るということになりましたので仕方ありません。
 後は出来るだけ混乱がないように、今後の対策を考えていきます。今日、税制関係者でささやかな打ち上げをする予定ですが、「大変よく出来ました」とまではいきません。